創立25周年特別企画
コラム


Episode7

大切なのは納品までではなく「稼働してから」です

予約システムに限らずソフトウェア業界ではほとんどの会社が「納品まで」を重視し、「納品したら責任完了」と考えています。使う側からすると納品が「終わり」ではなく「開始」なのですが。なぜそのようなことになっているのか?それは電化製品などと同じように考えている会社が多いからです。機能が限定され徹底的にテストされJIS規格等の基準をクリアした電化製品と、医療機関のリクエストをオーダーで組み込めるソフトウェアでは精度の次元が違います。「納品まで」と考える企業は営業段階から「何でもできます」という姿勢です。

しかし業界の中身をよく知る私たちからすると「何でもできる」は「何もできない」と同意語です。ドクターでもそうだと思います。「何でも診ます」というドクターほど、専門性に乏しく全体的に知識レベルの低いドクターで信頼に値しません。「何でも美味い」と豪語する飲食店に本当に美味いメニューは存在せず、どれもまぁ食えなくはないというレベルです。つまりそういう営業主体のシステム会社と契約すると、営業段階では「何でも思い通りに設定可能」と説明され、納品もしくは利用開始の段階に移ると営業からシステム屋に担当が変わったり、「あれはできない」「これも難しい」「それは聞いていない」と、当初の話していたことが反故にされてしまいます。担当者の携帯に電話をしても繋がらないことが多くなり、依頼したこともあいまいになり。言った、言わない、聞いていないなど、商取引上最低限の信頼関係が守られません。それでも一旦スタートしてしまうと患者にも公開していることから、なかなか他のシステムに移行することは難しくなります。ここが彼らの狙いです。「入れてしまえばしばらくは解約できない」と、次々に売ることを優先していきます。

では当社はどうでしょうか?全く体質が異なります。当社の創業以来のコンセプトは「投資効果の明確なシステムのご提供」で、ウェブサイトにも27年前から明記しています。この「投資効果」を実感していただくのは当然、システムが稼働し正常に運用できて、しばらく経過してから、の話です。したがって当社は、売り切りのシステム制作は一切行わず、運用サポートまでをしっかりと行うビジネスモデルをご提案しています。1件毎に異なる投資効果をどこに置くのか、まずはそこから始めます。患者を増やしたい、待ち時間をなくしたい、スタッフの電話対応ストレスを解消したい、スタッフを減らしたい、利益率を向上させたい。など、今回の導入で何が一番の狙いなのかをまず最初に明確にします。たとえば最近、予防接種予約システムを通年でご検討される医療機関では「誤接種を防止したい」という背景があることを聞かされます。現在の煩雑な小児ワクチンの誤接種は人為的ミスで起きてしまいがちです。当社はそれに対し、誤接種を完全にブロックできる仕組みをご用意できます。このように、各々から期待される投資効果を明確に発揮できるものを提供できなくてはなりません。そのためにはとりもなおさず、業務知識が重要になるのです。「おたくは本当に詳しいね、うちより詳しいくらいだ。」と褒め言葉をよくいただきますが、「ワクチンの予約」と言っても、各々の接種に関する様々な知識、厚労省の予防接種法、年齢ごとに接種量が異なるワクチンや公費、自費、自治体ごとの補助の仕組み、同時接種可能本数や、逆に同時接種不可のワクチン設定、BCGの集団接種、個別接種、更には単独接種にするか否か、バイアルとシリンジの取扱いや、現在、供給量の少ないワクチンの種別や卸の対応など、きわめて複雑な要素があります。これらを常に細かく情報収集し、システムにおいてどのように整理整頓し使いやすく提供するのが望ましいか、それを多くの医療機関に反映することで投資効果は発揮できます。まず前提として「小児ワクチンに関する知識と取扱い」については他社とは比較になりません。なぜそれを自負できるのかは、また次回ご説明するとして、投資効果を前提とし打ち合わせた後に、設定し、動作シミュレーションを行って本稼働となりますが、ここからが本当のスタートになるわけです。稼働後には様々な疑問や使い勝手の変更が発生します。

前置きが長くなりましたが、そこで登場するのが当社のサポート用専用掲示板「ホットライン」です。主治医ドットコムのサービス開始の前に登場したこの仕組みこそ、前述の言った言わない、聞いていない、というトラブルを一切起こさないための顧客とオリヴァーとを結ぶリエゾンなのです。医療機関からの質問をホットラインに入力いただき、こちらから返信する、という実にシンプルな仕組みですが、やりとりのトラブルを防ぐだけでなく、ここには大きな効果が隠されています。それは、使い込んでいくうちに様々なやりとりが発生し、1件ごとにまとめられたスレッドは、やがて医療機関ごとのかけがえのない業務マニュアルに発展していくことです。新しい受付スタッフにはまず、「過去のホットラインを読ませる」という先生も少なくありません。稼働後は全てのやりとりをホットラインに文章で残します。医療機関側は24時間入力可能です。返信は原則的に当社の就業時間内で行いますが、緊急の内容に対しては夜間でもお返事いたします。平日の就業時間内は電話でのお問い合わせも受け付けておりますが、そこでやりとりした内容もすべてホットラインに記載いたします。医療機関ごとの設定に関わる質問やリクエストもあれば、他の医療機関の設定を参考にしたいというご依頼もあります。ここでしっかりと信頼関係を構築しサポートを行っていきます。医療機関の電話対応を軽減するために予約システムを売るという会社が、サポートは担当の携帯に連絡、というやり方では、患者が医療機関へ電話を掛けても話し中で繋がらないとストレスを感じることに似て、スタッフが問い合わせの電話をかけても繋がらないことにもストレスがたまる。ということになります。このホットラインはまさに当社とご利用医療機関をホットにつなぐ専用の質疑応答掲示板です。このホットラインの利便性は他にも様々あります。登録患者にメールを一斉送信する機能もその一例で、もともとは当社が一斉にご利用医療機関にご案内を発信するために作った機能です。システムのレベルは当然ですが、ホットラインのサポートは当社の強力な売りです。

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